人事のためのデータサイエンス/入江崇介
人事におけるデータをつかった分析方法、活用方法について説明した本。
ハッキリ言って、人事以外の人でも読むべき本と考えられる。要はデータ分析を自分の事業やビジネスにどう活かすかについて考える上での一例となる本だからである。
「なるほど、人事ではこういう形でデータ分析を活かしているのだな」と読み解くことで、自分の仕事だったらこう活かせるな、と改めて考えるきっかけとなるであろう。
何にせよ、この本で重要なのは「既にあるデータを活用すること」「高度な分析手法を最初から使おうとしないこと」ということである。
データサイエンスというと、多くのデータを新規に集めて、高度な分析手法を用いないと始められない、と考える人もいるかもしれない。
だが、実際はそんなことはない。まずはできるところから始め、そこから徐々に高度な手法に移行していけばよい。とういことを気づかせてくれる良書である。
その他、気になったポイントは以下のとおり。
・データ活用とは、「データを分析し、その結果に基づきアクションを起こす」一連の活動。統計解析などの分析手法は、あくまで手段の1つ。
・データ分析によって、業務・施策をレベルアップし、やがて戦略へ転換させていく。そのために投資効果の可視化、戦略との接続強化のための武器として使う。
・人事業務の効率化、人事施策の効果性向上、そして従業員の経験の質向上による人事業務・施策のレベルアップのための武器である。
・小さい事からスタートし、その成功経験を積み、その成果を還元し、データ活用の風土を醸成することが重要。
・人事データの分析に入る前に、分析結果に基づいてどのようなアクションを起こすのかを事前に具体化することが大切。
・単一の変数の見える化には、度数分布表やヒストグラムが有効。2つの変数の組み合わせの見える化には、クロス集計表や散布図が有効。
・統計解析は、「効果や関係性の数値化」「確からしさの数値化」「統計解析ならではの発見」ができる、人事の武器。