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【書評】統計と日本社会 データサイエンス時代の展開/国友直人・山本拓

現代の日本社会において、ビッグデータや統計がどのように扱われているか。

 

それについて幅広い分野で知ることのできる本。ライフサイエンス研究やマーケティング、大学・高校・中学での統計に関する指導や統計検定など、非常に多岐にわたっており、統計の時代潮流を知る上で、お薦めである。

  

統計と日本社会: データサイエンス時代の展開

統計と日本社会: データサイエンス時代の展開

 

 

自分としては特に、第4章のビッグデータ時代のマーケティングと統計科学」が非常に参考になった。

 

先の記事にも書いたが、機械学習だとかPythonだとか高度な統計分析知識をインプットするのでなく、以下の2点に意識的に取り組むことから始めていきたい。

 

①現在企業が保有するリソースで対応できる範囲で、マーケティング・データ分析を行い分析結果を読み解く

②得られた分析結果を実際のビジネス意思決定に活用する

  

加えて、現場担当者の肌感覚、データ分析前任者の経験に基づく分析結果に対する違和感、第三者機関による市場調査の結果など、多角的に見ることによって、新たな気づきやモデル精度の改善が期待される。

 

またマーケティング意思決定プロセスにおいては、「何が起きたのか」に加えて、「何がドライバーとなってその結果・行動が起きたのか」を把握していかなければならない。

 

…などなど、この章は全編にわたって、マーケティング・サイエンスを統計データを使って行いたい人には役立つ内容ではないかと思う。 

 

とはいえ難しいことを言っているのではなく、分析手法は、高度か否かについてこだわる意味はあまりないそうだ。 以下の文章からもそれは見て取れる。

 

しかし、マーケティング・データ分析担当者に必須であると考えられる、(1)分析課題と手元のデータ、そして分析手法が合致しているかどうかを見極める力、(2)分析の結果得られた数値を正しく解釈し、具体的なアクションに落とし込むスキルについては、あまり言及されることはない。一見当たり前に見えるこの基礎スキルこそが、マーケティング意思決定プロセスにおいて、分析結果を活用する上でもっとも重要であると筆者は考える。(1)と(2)は、マーケティング・データ分析を適切に行い、分析結果を正しく読み解く分析リテラシーである。…複雑な分析手法を学ぶこと、最新の分析手法を追いかけ続けることが、必ずしも分析リテラシーの醸成を促進してくれるわけではない。(p99)

 

筆者は基礎的な確率モデルや統計的仮説検定を学んだ上で、より高度な分析手法を学ぶだけでなく、試行錯誤の上で分析リテラシーを身に着けるようにすることが重要と説く。

 

私自身、つい高度な統計手法を求めようとしてしまうが(統計検定1級を目指す)、今は基礎的なものを繰り返し分析し、着実に身に着けることが重要な時期なのであろう。

 

その一方、ある程度経験が詰めたら、マーケティング・サイエンス学会に入りたいな、と思った。

 

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