アカデミアや大学院を舞台にした小説・自叙伝6選
ここ数年で教授や博士といったアカデミアに関する小説をよく読んだ気がするので、まとめて書いておく。他にも良い作品をご存知でしたら、教えてください。
*文学部唯野教授シリーズ
文学部教授の生活の裏側と、
*工学部ヒラノ教授シリーズ(今野浩)
文学部唯野教授シリーズに影響?を受けて書かれた工学部ヒラノ教授シリーズ。理系における研究生活を切り出し、ポスト争いの厳しさや、それに向けて成果を出すための研究と雑用のせめぎあい等、その実態がよくわかる。筆者はアメリカでも研究した経験があり、日米の研究の比較や、論文の書き方を記した本もあって非常に面白い。
*東大助手物語
筆者が東大の助手時代になめた辛酸を中心に、哲学者としてポストを争っていくアカデミアの実情を記す女子哀工とでも言おうか。教授との関係でポストを得て、そして教授との関係でまた苦しめられていく。例え東大法学部を出て、ジュネーブで博士号を取得して、華やかな経験があろうとも、日本のアカデミアではそれが手放しでもてはやされるわけではない。
*運命ー濃度から東大教授までの物語
これは小説というよりもである。出来の悪い高校生から農協職員になり、そしてアメリカ大学へ行き、ハーバードで政治学の博士号を取り、やがては東大法学部の教授へとなる半生を記している。筆者はやがて熊本県知事にも就任する。勉強とは何か、学問とは何かを改めて考えさせられる。
*ラボ・ガール 植物と研究を愛した女性科学者の物語
こちらは男性中心の学問の世界で、女性植物学者がいかに奮闘していくかを記したもの。研究生活での友情や、ラボを守るための苦境、その中での出産や、育児をしながら研究をする姿など、物語としても読める。
*異邦人のまなざし
これも小説ではなく自叙伝。著者は学生時代に世界を放浪した後、現在はフランスにて教鞭をとっている。研究者生活、特に人文学系で興味がある人にお勧め。この本は、著者自身がどのような疑問を持ち、迷い、そして今のポストに就いたのか、歴史を垣間見ることができる。