思考はフレームで外物化し、そして説明で内物化する(ファシリテーション・ベーシック)
【目次】
- 1 読書や会議をする前はコンテンツだけでなく、プロセス(どう読み進め、考えるか)を重視する
- 2 思考はペンを持ってフレームに落とし込み(外視化)、最後に自分の言葉で説明する(内視化)
- 3 読書・議論・ワークショップの前には、そのハウツー本を読みなおす。
【読んだ本・論文】
A ファシリテーション・ベーシック by 堀公俊
B 原因を探る統計学 by 豊田秀樹・前田忠彦・柳井晴天
C Fukaya, T. (2013). Explanation generation, not explanation expectancy, improves metacomprehension accuracy. Metacognition and Learning, 8, 1-18.
考えたこと
1 読書や会議をする前はコンテンツだけでなく、プロセス(どう読み進め、考えるか)を重視する
ファシリテーション・ベーシックス ―組織のパワーを引き出す技法 (ファシリテーション・スキルズ・シリーズ)
- 作者: 堀公俊
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/02/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Aの「ファシリテーション・ベーシックス」によると、議論においては意見、アイデア、知識といったコンテンツだけでなく、「どんなやり方で議論すればいいのか?」「誰に話を振れば良いのか?」といった進め方(プロセス )も同様に重要である。コンテンツに集中すると、プロセスがおろそかになる。
これは読書にも活用されるべきことであり、読み始める前に3冊の本を見て、どれだけの期間で、何を学び、どのように読み進めて、何を考えるか最初に考察するようにする。どのような内容か?だけでなく、どのように読み進めるか?を作戦だてる。
※読み進め方の例
(1)3冊から気になった文章だけピックアップして、後に統合させる。
(2)各本の要約だけ読み、その時点で仮説をたてて、3冊読み進める。等。
また私にとっての読書の目的は、思考の結果、自分の活動に活かせる教訓を抽出すること。そのため、読書の途中に浮かんでくる主張や議論はなるべく紙に落とし、ひとつひとつの意見(とくに個別の事例)に対して、一段上の視点で解釈・統合し、「要はこういうことですね」とくくる(共通項の認識)。
ここでBの「原因を探る統計学」を読むと、それぞれに相関がある際には、①2つの要素の間に因果関係があるか、②2つの要素の背後に共通原因があるか、しっかり見極めることが重要という。よく言われるが、「環境汚染の度合」と「若年人口の増加」に相関があっても、相互に因果関係があるのではなく、背後に「都市化」という共通原因があるというやつだ。安直に行う一段上での解釈・統合は、事実から目をそらすことになると認識する。
2 思考はペンを持ってフレームに落とし込み(外視化)、最後に自分の言葉で説明する(内視化)
先の記事にも書いたが、まずは自分の思考を疑う。自分の考えは、いいかげんだと自覚する。このため、自分が思考する際や、会議においては、「要はこういうことを言いたいのですよね?」「これはつまり解決策ということですか?」と常に確認する癖をつけるように。このため、議事録係を任せられなくても自ら行う。同様に、自問自答をする際には考えたことを文字に落とす。
で、文字に落とす際には、フレームワークを作り、そこにあてはめていくようにする。ここで使用するフレームワークには、Aの本でも色々と紹介されているが、ピンと来るものは少ない。自分でも活かせるフレームワークを生みだすようにする。
またCの論文(Fukaya)によると、「どの程度理解できたか」という主観的な評定は、成績の良さと相関しない。これは統計学的にも証明されるんですね。他方、学習した内容の説明を求めることで、理解度評定の正確さは向上する。つまりうまく説明できればその内容を理解しており、うまく説明できなければ、理解に乏しいということになる。
3 読書・議論・ワークショップの前には、そのハウツー本を読みなおす。
Aの本はファシリテーション技法にあふれており、役立つものだった。しかしながら実際に私が議論に参加する時には、内容のほとんどを忘れてしまっているだろう。このため、どんなに小さい会議でも参加する前には、別の本でも良いが、議論のハウツー本を読む。同様に、ワークショップの前には、ファシリテーションの本を改めて読む。知識をすぐに実践で活かせない限りは、定着はないものと自覚する。
その他(パーキング)
・思考や議論においては、パーキングの場所を作る。浮かんできた関係のない思考や意見は、一旦そこに記載する。
・自分の主張に対しても、修正・加筆といった小さい変化から反対意見等、議論を戦わせる。 例えばマインドマップをつくって考えを広げる。
・議論での意見については、特にオリジナルのアイデアが出せない場合は、他の人が言ったことに対して追加・修正する。並列的意見の表明。反対。出てきたアイデアは否定しない。ひたすら広げて、統合のタイミングで取捨選択する。