3冊並行読書のブログ

3冊並行読書の記録をするブログです。

タスクの優先順位付けマトリックス…と哲学(データの見えざる手/哲学な日々)

 朝にはエネルギーを使う仕事をして、午後は気持ち的に取り組みやすい仕事をする。大事なのは動くと言うこと。それが、幸福度にも繋がる。ただし、目的達成にこだわらず、人生は味わうことと心得るべし。時に思索をするが、自分の考えは甘いと自覚し、他者の考えに自分の思いを少々追加するくらいのスタンスとする。

  

読んだ本

A データの見えざる手 by 矢野和男

B 哲学な日々 考えさせない時代に抗して by 野矢茂樹

C 本を読むときに何が起きているのか by ピーター・メンデルサンド

 

考察

1 朝にエネルギーを要するタスクを行い、午後は流す程度にする 

  この本はかなり興味深かった。自然現象にみられる物理の法則や方程式は、人間の行動や自由意思にも適応される。ウェアラブルセンサによって認知できるようになったヒューマンビックデータにより、人間、社会、組織の法則性を明らかにした。

 著者は、時間の使い方は自由にならないと述べ、1日に使えるエネルギーの総量とその配分の仕方は、法則により制限されていると言う。つまり、活動量は朝から次第に上昇し、午後にピークを迎え、その後、低下していく。1日の途中で活動予算が枯渇すると、モチベーションが下がるという効果がある。

 このため、活動予算(U分布)を意識し、活発な動きを伴う仕事や、原稿執筆のような仕事など、バランスよくこなしていく必要がある。これを踏まえ、私は一日のToDoリストを作る際に、以下のような表に並べて書いている。

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 タスクの重要度、活動予算の大小によって、どの順位でタスクをこなすかを決定する。この場合、①→②→③→④の順番にこなしていき、特に①は午前中には終わらせるようにする。

 

2 なにはともあれ活動をして、幸福度を高める。だが、幸福の達成に拘らない。

 またAの本では、最新の技術によって、「どうすればハピネスは高められるのか」といった根源的な問い、哲学や宗教の問題に対しても、科学的アプローチが可能であると主張する。自ら体を活発に動かしやすい人は、ハピネス度が高く、その活発度は他者との相互作用のなかに起きるという。幸福度の50%は遺伝、10%は環境(人間関係、お金、健康)、そして40%は自分が「積極的に行動したか」どうかである。

 このため世界の現実は、ある程度科学的な見地から解明が可能なのだろう。

 幸せを人生の目的とするならば、非常に精算的な研究である。それに対し、Bの本は述べる。目的地を目指して走るだけでは、人生はもったいない、と。散歩のように、ゴールを目指して邁進するのでなく、ちょっとした季節の移り変わりや、心地よい風。それを味わう。生きることを、目的とか意義とか価値と言った言葉で語るのではなく、その味わいにおいて語るべきだ。哲学は生きていくことに対してメタ的な態度をとり、活動を一旦停止させる。生活を中断する。哲学をして、立ち止まって、「いったいこれは何なんだ」と自分のやっていることを問い直す。

 幸福度を高めることを人生の目的と据え置きながらも、それが実現せず仮に不幸であろうとも、その状況を「味わえる」姿勢は持ちたいものである。 

哲学な日々 考えさせない時代に抗して

哲学な日々 考えさせない時代に抗して

 

 

3 思索をする時は、自分の考えは甘いと自覚し、他者の考えを踏まえてから。

 とはいえ、Aの筆者も仕事の生産性を高めるため、仕事の途中で歩き回うようにもしているという。仕事の合間に人と交流することで、生産性もあがる。私も極力、活発度を高めるよう心がけながらも、その中で思索にふけることとしたい。 

 その際は、自分の頭で最終的に考えることは必須であるが、ひとりの考えでは甘く、たいしたことも出てこないので、まずは他の人の考えや情報を得て、深めることとする。インプット→思索→アウトプットをバランスよく行う。そのサイクルに推進力を加えることで、少しでも真理を明らかにしていき、それを積み重ねていく。

哲学は真理を求める求心力とともに、多様な考えや観点を開いていくと言う遠心力を持つ。 

 

4.自分の読書の仕方も、思索も、常に疑う 

 このように目的のみに邁進することを是とせず、考察し人生を味わうことを良しと私は述べた。このような私の主張に対し一石を投じたのが「本を読むときに何が起きているのか」である。

本を読むときに何が起きているのか  ことばとビジュアルの間、目と頭の間

本を読むときに何が起きているのか  ことばとビジュアルの間、目と頭の間

 

  この本は読書をする際に頭の中で起こっている事象を解読する上で役立つ言葉をちりばめている。特筆すべきは、その「読書に関するアート」といった表現の仕方だ。ハッとするようなアート的な技法で内容を展開し、まるでプレゼンテーションを見ているようだった。

 この本を読むと、本を読む際に、いかに頭の中で要約をつくりあげようとし、それが予測によって裏打ちされていたか、がよくわかった。筆者は、人は世界を見る時も同様の働きかけをしていると述べる。断片から、全体図を予測し、要約していると。 

 またこのブログのように、本から何か知識を得ることだけを目的としているのも疑問を感じずにいられなかった。読書の途中で起こる脳内や心の現象を味わうことなく、まとめるというスタンスは如何な事かと。

 とはいえ、読むことを堪能しようとすると、あまり記憶に残らず、読書における推測に結びつかないと思われるので、これはこれで続けるのだが。いずれにせよ、自分の読書の仕方に問題があるとは思っていなかった。もう少し自分自身も疑うようにしよう。

フランス料理を家庭でつくること

 

trq.hatenablog.com

 

 一汁三菜と言えば和食であるが、フレンチビストロでもできないことはない。

 とはいえフレンチはフレンチの文化があり、一汁三菜にこだわる必要はまったくなく、臨機応変に対応するのが良い。メインが煮込み料理ならば、ポタージュ/スープを落として、サラダをつけるだけでも良いだろう。フランス人は3皿でもてなすとも言う(ペレ信子さんによると、サラダ(前菜)、メイン(煮込み)、デザートの3皿でもてなすらしい)。

 

 あと、フランス料理のレシピ本なんかを見ても、あまり家庭料理に継続的に応用できないことが多い。ここぞとばかりにオードブル料理(キッシュ、テリーヌ、カナッペ)を紹介しているが、家庭で毎日、というわけにはいかない。無視して良い。どこかパーティーに一品持って行く時にでも作ればよい…と思う。

 

1.ビストロフレンチの献立の構成を頭に入れる

 和食の一汁三菜をベースに、フレンチでの家庭での構成(一汁三菜)を考えれば以下のようなものか。

 

【一汁】

・ポタージュ/スープ

【三菜】

・サラダ

・サイドディッシュ(煮物、ピュレ、ソテー、グラタン等)

・メインの肉料理か魚料理

 

 とはいえ実際に調理するとなると、この構成がそろうことはあまりない。例えばポタージュとサイドディッシュが被ってどちらかカットすることもあるし、メインの料理が煮込みであれば、スープをはずすこともある。

 品数が少なくなるようであれば、必要に応じてデザートを加えても良い。余談だが、和食の店にはデザートという概念がないが、フランス料理を食べた後はデザートが食べたくなるという。和食では砂糖やみりん、でんぷん質の米を食べるため、和食ではデザートがない(むしろ、口をさっぱりさせるフルーツ程度)。他方、フランス料理は基本的に糖分をソースに使わず、飲むお酒もワインなので、デザートが欲しくなるのだそう(参考:日本料理の贅沢)。

 

2.メイン料理を決める 

(1)食材を決める

 肉か魚。フランス料理は肉も魚も出すとは言うものの、家庭ではどちらかで良い。 

(2)調理法を決める

 使用する油を決める。オリーブ油かバター。

 魚の場合:フライパンに油でパリっと焼く。または小麦粉まぶしてバターでソテー。

 肉の場合:煮込み(クリーム、ワイン(赤・白)、トマト)、焼き料理

 ※オーブンを使って調理しても良い。

 (3)味付けを決める

・塩・レモン汁に香草(オリーブ油での調理に合う)

・各調理で出来た煮汁を利用してつくる(バターに白ワイン)。

・新たにソースを作り、ソテーした肉・魚に加える(バジリコペースト、ドライトマトのペースト、バルサミコ酢を煮詰めたソース、オリーブペースト等)

 

3.サラダを考える

  続いてサラダを考える。基本的には旬の葉野菜を中心に数種類の野菜を用意し、ドレッシングをかけて食す。ビネガーの種類や、油の種類でいろいろと準備でき、たまにマスタードなどを加えて変化を与えると良い。アーティチョーク、エシャロット、ポワロー、チコリーなんかがあるとそれらしくなる。

 ドレッシングの基本は、ビネガー1に対して、オイル3~4(それに塩やマスタード、にんにくやコショウを少々)。直前にドレッシングをかけるものもあれば、調理時にまぜてしばらく寝かせるものもある。フランス人は、サラダを和えもののように調理することもあるらしい。 

フランス人は、3つの調理法で野菜を食べる。

フランス人は、3つの調理法で野菜を食べる。

 

 

4.付け合わせの料理を考える

 根菜(じゃがいも、かぼちゃ等)や豆類(いんげん、そら豆等)、きのこ類を一品のみで調理する(玉ねぎを足す場合もある)。これらをバター煮、クリーム煮、ピュレ、オリーブ油炒めなどで調理。バター煮の場合は、水またはブイヨンを加え、蓋をしてしばらく煮る。クリーム煮の場合は牛乳を加え、塩で味付け。当然ながら、メインが野菜をフンダンに使った煮物となる場合は、付け合わせはカットしても良いと考える。

 

5.スープを考える 

(1)ポタージュ

 付け合わせと似ている。野菜(ニンジンとかかぼちゃ)や豆類をバターで炒め、牛乳と水で煮たてる。付け合わせのピュレにも応用可能だし、付け合わせがある時はポタージュはなくても良いかと思う。ブイヨンは使わない。

(2)スープ

 いゆわる具だくさんスープ。肉・魚に野菜を加えて煮ればよいのだが、フレンチっぽさを出したいならブーケガルニ系(セロリ―、ポワロー、タイム)あたりを材料に含むとそれっぽくなる。その他、バター、ベーコン、白ワイン、ブイヨンなんかを加えても和食と差異化が図れる。クリーム系だと、生クリームなんかも使う。これも肉・魚なんかを潤沢にしたら、メインとしても良い。メインが別にあるなら、あっさりと作れば良いかな。

 

おまけ ビストロフレンチの家庭での楽しみ方

 以上が家庭でフランス料理を作る際に心がけていることだが、ビストロフレンチを家庭で作る時に、自分が意識していることをいくつか。

 

1.香草を使う

 和食では使うことがないので、せっかくなら使ってみよう。魚ならタイム、ローズマリーローリエやセージ、エストラゴンなど。ベランダ菜園などで、新鮮なものをいつでも使えるといいな。スーパーで買っても冷蔵庫の肥やしになるだろうし。

 

2.バターを使う

 せっかくならカルピスバターとか使ってもいいかもな。高いけれども。和食ではあまり使わないし。ただしサイズがでかいので、しばらくはバター料理が続くことを覚悟しないといかんな。

 

3.飴色に炒めた玉ねぎを使う

 オニオングラタンスープとか本格的だし。ソース・シャルキュトリーなんか作っても、料理ができる人っぽい。50分くらいかけて玉ねぎを炒めるという、時間がある人にのみ許されるこの快感を。

 

4.鶏のブイヨン、フォン・ド・ヴォーの扱い

 ブイヨンとフォン・ド・ヴォーを自力で作るのはなかなか大変。鶏ガラが入ったらブイヨンくらいは作ってもよいかもしれないが、フォン・ド・ヴォーはまず無理だな。このあたりはキューブのものとかを使っても良いかもしれないが、本格的なものだと冷凍されたものや、または明治屋とかでグラスドビヤンを買ってもよい。自分の場合は、鶏挽肉で作るか、少しの量ならば面倒なので和風だし汁を使っている。

 

  以上を念頭に、レシピ本等をみて自分の作れるものを増やしていくと良いだろう。

 

フランス流しまつで温かい暮らし フランス人は3皿でもてなす (講談社の実用BOOK)

フランス流しまつで温かい暮らし フランス人は3皿でもてなす (講談社の実用BOOK)

 

 

いちばんやさしい フランス料理

いちばんやさしい フランス料理

 

 フランス料理ではないが、日本料理の真髄に関する本。

日本料理の贅沢 (講談社現代新書)

日本料理の贅沢 (講談社現代新書)

 

 

和食の一汁三菜をつくるコツ(時間のある人向け)

 自らの体に入れるものが、自らの思考や意識をつくる。そう信じ、なるべく健康的な食事を心がけています。特に心がけているのは和食での一汁三菜(主菜1品+副菜2品)。備忘録として、私が心がけているコツを紹介します。

 

1 三菜の構成を頭に入れる

 一汁三菜といっても、何でも献立に盛り込めばいいものではない。ネットを検索すれば、やれ豆腐や納豆、漬物といったものを並べれば良いというものもある。だが、せっかくならきちんと一汁三菜を調理することを目指したい。その結果としてどうしてもダメな時、そういった常備菜に頼れば良いのだ。

 

 では、三菜が構成するものは何か。最近の私が目指しているものは、以下の3品である。

(1)和え物(酢のもの)

(2)煮物(蒸しもの)

(3)焼き物(炒めもの、揚げもの)

 この構成をとりあえず頭に入れて、私はスーパーなり市場へと買いものへ出かける。

 

2 和え物は、素材そのものを活かす。旬の物。

 日本料理のプロが書いたエッセイ等を見ると、季節のもの、旬のものを喰らうことが重要と言う。そこまで神経質になることはないが、ここでは素材にはそこまで手を加えず(茹でる程度)、和える調味料等で工夫するようにしたい。市場で実際に使う食材は選ぶにせよ(私は葉物が多い)、調味料の候補の例は以下のとおり記しておく。

(1)甘酢(酢、水、砂糖、塩少々)

(2)三杯酢(しょうゆ、酢)

(3)土佐酢(しょうゆ、酢、だし汁、みりん)

(4)黄身酢(卵黄、しょうゆ、酢、砂糖)※湯せんか電子レンジで火をとおす

(5)酢みそ(みそ、酒、みりん、砂糖、卵黄)

(6)ごま和え衣(白ゴマ、砂糖、しょうゆ)

(7)白和え(木綿豆腐、白ゴマ、みそ、砂糖、みりん、塩)

 この他、みそにクルミを混ぜたり、大根のすりおろしで和えるというものもある。また料理本を見ると、食材には2種類を組み合わせる(例:ひじきとしいたけの白和え、ささみと春菊のごま和え等)ことが多いようだが、1食材でも良いと思う。

3 煮物(蒸しもの)は、根菜にだし汁で。

 もしも余裕があるならば、毎日昆布とカツオでだし汁をとって欲しい。それが煮物と蒸しものでは大いに活躍するであろう。よく言われるが、心も豊かになる。難しいならば、粒状のものでも良いだろう。

 煮る、蒸す食材としては、根菜が多い。じゃがいも、大根、カブ、里いも等を、だし汁をベースに単に煮たてても良いし、それに鳥肉のひきにくや、えびのそぼろあんなんかを作っても良いかもしれない。蒸し料理なら、茶碗蒸しや土瓶蒸しなんかが良いかな。

 根菜がメインと言ったが、ここではうまみを出す肉・魚類も根菜と一緒に煮ることも多い(そもそも肉・魚類だけを煮ることも)。その場合は肉・魚類の焼き物をカットし、ごはんを炊き込みご飯にする等で工夫すると良いな。

 

4 焼き物は、旬の魚を午前中に買って…をベストとする

 和え物・煮物で野菜を十分につかっているならば、メインの焼き物は旬の魚や肉のみで構成しても良いだろう。もしも和え物と煮物が十分に野菜を使えておらず食材の種類も少ないないならば、ここで何か付け加えると良い。肉を軸にした炒めものにして、食材のバランスをとっても良いと思う。結局はバランスだな。とはいえ、その日の午前中に新鮮な旬の魚を買って、調理する。それが一番贅沢ではないかと思うので、そこを目指したいものである。

 

盛り付けとか

 あと盛り付けとかより細かい点での演出を目指したいならば、以下の本をご参照いただきたい。高く積むとか、彩を考えるとか記載されている。 

いちばんやさしい日本料理

いちばんやさしい日本料理

 

  他方、「料理のお手本」では、手の込んだ料理やお飾り的な料理を必ずしも良しとせず、あまり手を加えない素直な家庭のお惣菜料理が、本当の日本料理を代表するという。その心意気も、忘れずにいたいものですな。

料理のお手本 (中公文庫―BIBLIO (B18-24))

料理のお手本 (中公文庫―BIBLIO (B18-24))

 

 

矛盾を深め、そこに驚きと美しさの解を。ザ・ファシリテーター/IQは金で買えるのか/異邦人のまなざし

読んだ本

A ザ・ファシリテーター

 30代中盤の女性が、開発センター長に任命され、逆境の中(若さ、女性、乏しい知識)でもファシリテーターの知識を用い、組織を改革するフィクション。ストーリー調で読みやすく、ファシリテーターの使い方が分かる本。会社の大きい目標に対して人を従わせたいと思ったら、再度読むと良い。

B 異邦人のまなざし

 「社会心理学講義」の著者が2003年に書いた遊学記。著者は学生時代にユーラシア大陸を放浪した後、現在はフランスにて教鞭をとっている。「社会心理学講義」にて述べられた、学問に関する概念等は重複する部分も多い。研究者生活、特に人文学系で興味がある人にお勧め。この本は、著者自身がどのような疑問を持ち、迷い、そして今のポストに就いたのか、歴史を垣間見ることができる。著者は、40歳近くになっても自分は何がしたいのかと問い、その迷いに対し、対決を挑んだ。勝ち負けは分からないが、その姿勢は私も見習うべきだろう。

C IQは金で買えるのか

 世界の遺伝子研究の最新状況に関する本。米国では精子バンクが存在し、容姿や学歴、IQや病歴からドナーを選ぶことが普通だ。中国でも「天才」のDNAを集め、知能を決める遺伝子の働きを解明しようとしている。一方、遺伝といっても、知能に派少なくとも数百以上の遺伝子が複雑に絡み合い、決定的なものはわかっていない。統計的手法を用いて、知能が高くなる組み合わせについて調査されている。

 

学んだこと 

矛盾や対立を見つけ、掘り下げる。そこに質問を投げ、論理的関係性を見いだす。

 Aでは、ファシリテーターとは「人と人とのインタラクション(相互作用)を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すもの」と定義づけている。集団の中で、考えを交流させ、価値の高い集合知を紡ぎ出す。

 Bは、物事の矛盾に対して安易な妥協を求めるのではなく、極限まで突き詰め、世界観の再構成を胎動させることが学術界では重要と説く。矛盾や対立は創造のエネルギー源であり、新しい発想を生み出す躍動となるのだ。

 そしてAはインタラクションを活性化させるには、 マイナスの感情、不必要な遠慮や配慮を排除し、積極的なプラスの感情を横溢させることが必要と説き、そのためのファシリテーションの技法やフレームワークを使うことが重要と言う。

 その際に質問も効果的である。全体を意識させる質問、分散(多様性)を意識させるもの、自分たちがコントロールできるものとそうでないものを意識させるもの、時間軸を意識させる、基準を意識させる等。

 このため、私も物事の矛盾や対立を認識して突き詰め、そこにファシリテーションの技法を用いることで、新しい発想や高い次元への思考を目指すようにする。また、自らの思考や意思決定においても、主観的な感情等からの影響を軽減するため、ファイシリテーションの技法を用いるようにする。

 

実証を試みる前に、まず理論的考察を行う。

 Bでは、 科学の発展においては実証以外に哲学的思索そして自由な想像力がまずは必要と説く。さらには研究テーマに対して、学問の領域区分を無視して思索することが重要で、歴史・社会学・人類学・哲学・心理学・生物学などを貪欲に参照すべきだと。

 

 この視点でCの知能に対する遺伝子的研究、統計学的考察を見るに、哲学的思索は果たしてあるのか疑問を持つ。そもそも知能とは何なのか。ノーベル賞を受賞した人間に共通する遺伝子組み合わせを認識した時、それは知能と呼べるのか。 本来であれば知能の定義が最初に来るのかもしれないが、技術の革新は、時として実証を先に進めてしまいがちな点、留意しておきたい。

 

プレゼンや報告書においては、驚きを大事にする。美しさを信じる。

 Bでは、手品のタネの考案は研究における創造とよく似ている、という言葉は印象的だった。確かに、どう見ても相容れない二つの減少・データの矛盾をあっと言うような手腕で解き、自然に有り得ない現象を柔軟な水平思考で創出する。筆者のやり方として、「問題に内包されている矛盾ができるだけ鮮明になるような記述をいったんした後で、それを意外な角度から解くという手法がいつも取られている。

 Aでは、案件には感嘆詞の「ワァオ」が必要という。つまり驚き。担当者が足しげく通ってクライアントのニーズをはるかに上回る内容で会ったり、短い開発期間であったりと、感動を生みだすような仕事というのが重要と言う。

その他

・学会への論文投稿や本の執筆は、誰にでもできるとまずは認識。(B)

・プレゼンや授業の行い方は、落語家を模倣。入念な準備と、その場の空気掴み等を心がける。(B)

・共通基盤の薄い国では、言語による理解を工夫している。そういう国では、ファシリテーションが発達する。(A)

ブレーンストーミングではアイデアに対する批判はご法度なので、いったん書き出してPAとかに記入し、記録することで敬意を払う。自分の思考も、色々と書きだして無駄なようなものは放置するようにする。(A)

・社内のベストプラクティスを学び、ノウハウや情熱を盗む。(A)

・何のためにやっているのか混乱していると思ったら、ツリー状に目的と手段を結んで構造を示す。ツリー構造を書きながら議論すると、全員で真の目的を共有できる。論理を構造化して、可視化して共有する。(A)

ホーソン実験:①労働者の行動は、感情から切り離しては理解できない。②感情は偽装されることが多く、面接では把握しにくい。感情は、その人の全体的状情況と併せてはじめて理解できる。(A)

・プロジェクトを進めていく上で、フレームワークが有効であるが、何より進めながら「研究」と「知識」を常に入れつつ、進めていくことが重要である。

 

ザ・ファシリテーター

ザ・ファシリテーター

 

 

IQは金で買えるのか――世界遺伝子研究最前線

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異邦人のまなざし―在パリ社会心理学者の遊学記

異邦人のまなざし―在パリ社会心理学者の遊学記

 

 

統計調査士・専門統計調査士の勉強方法

 統計検定の中には、統計調査士と専門統計調査士があります。過去の問題集は発売されているものの、他の級のように参考書は発売されていません。2017年5月あたりに新年度のものが発売されると思います。

  そこで、以下に専門統計調査士の試験対策について述べます。

問題傾向

 まずは過去問を一度やって頂きたいが、だいたいの問題構成は以下のとおり。

(1)統計調査法について(15問程度)

(2)公的調査の知識(10問程度)

(3)公的調査の結果の読み方(5問程度)

(4)統計の知識・計算問題(10問程度)

・過去問で対応できる問題は半分くらいであろうか。過去問だけで合格は難しい。例えば2016年度の試験では、「問5 コールセンターの業務管理の指標」「

・公的調査のニュースを抑える。2016年では消費者物価指数について、基準年が2015年になった点が問われた。

・データの読み方についてはセンスが必要。官報などを見て、チェック。

・委員会メンバーについてもチェックする。 

具体的な対策

・過去問をやって、問題に出てきたキーワードについては自ら調べて、実際に出される問題を予測する姿勢が重要。例えば2015年にクラスター分析の基礎的な問題が出題されたが、2016年度ではクラスター分析のちょっとつっこんだ問題(ウォード法)が出題された。統計調査方法は頻出なので、入念に抑えて置く。 

社会調査の実際:統計調査の方法とデータの分析

社会調査の実際:統計調査の方法とデータの分析

 

 

読書について 本を読む本/読書について/読みの整理学

読んだ本

A 本を読む本 by J・モーティマー・アドラー

B 読書について 他二篇 by ショウペンハウエル

C  読みの整理学 by 外山滋比古

概要

 本ブログではテーマの異なる本を3冊読み、相互に検討することで批判的に読むことを目的とする。だが、本記事では同一のテーマ、即ち「読書と思索」を扱った本を紹介する。「読書」というテーマの間で、互いに比較する。

 Aは、読書の作法と心得について述べている。読書を4つのレベル(初級レベル、点検レベル[系統立てて拾い読み]、分析読書[徹底的に分析して読む]、シントピカル読書)に分けて読書法を解説する。シントピカル読書とは、「一つの主題について何冊もの本を相互に関連付けて読む」ことを意味する。読書には積極性が必要であり、読んでいるあいだに質問し、「発見」を伴うべきと言う。

 Bは、あらゆる時代、あらゆる民族が生んだ古典や良書を読むべし、ということを主張する。また良書を読むためには、悪書を読むべきではない。また「他人にものを考えてもらい、自分で考えることを辞める」結果となる多読は避けるべきだと言う。

 Cは、読書に関するエッセイに近い。簡易な読み口であり、難解な書物(外国語も含む)への取り組み方も紹介している点が興味深い。未知の書物に比較して、既知に導かれて読む読み方はやさしく、ときに楽しい。

所感

 古典は有益でありながらも難解であることが多い。その苦痛をやわらげるため、簡易で既知の書物(Cにいうアルファー読み)の視点を借りながら、ベーター(未知)の読書を進めることが良かろう。

 このため、日々の読書では、「読書に対して自分の頭で考える」ことを目的として、Aに言う「点検読書」レベルでありながら、シントピカル読書を行う。読みかけの本を中途にておき、他の本に移ることで、客観的に本の内容を考察する。分析読書まで行って、筆者との折り合いをつけることは自分にとって「他人にものを考えてもらう」状態になると懸念する。

 他方、読む本の中には、古典や良書を含めるように心がける。難しくとも、既知の書物も組み合わせることで、少なくとも撤退を忌避する。一方で、Aに言う「どんな良い本にも、必ず欠点がある」という姿勢を忘れない。

 またCでは、未知のものを繰り返し読むことが重要と主張する。読書百篇、意自ら通ずとも言うし、愛着もわく。他方、悪書を繰り返し読むことを避けるため、長期的に読書に取り組むということはせず、1週間という区切りを設け、3冊を繰り返し読むこととする。言うならば読書のポートフォリオである。どうしても繰り返し読みたいと思ったものだけ、再度読みなおす。

 本来であれば全ての本に対し分析読書を行い、徹底して読書をするべきであろう。しかしながら、このような3冊並行読みは以下のメリットがある。
(1)本を客観的に考察できる
(2)本を変える際に気分転換となり、新鮮な気持ちで各本を読める
(3)読み返すべき良書を判別しやすい。悪書のみをつかむリスクが減る。

 

 一冊の本に対し、他の本の主張を借りながらでも批判するのは楽しい。
 頭の体操にもなる。  

本を読む本 (講談社学術文庫)

本を読む本 (講談社学術文庫)

 

 

読書について 他二篇 (岩波文庫)

読書について 他二篇 (岩波文庫)

 

 

「読み」の整理学 (ちくま文庫)

「読み」の整理学 (ちくま文庫)

 

 

社会心理学講義/調理場と言う戦場/ウソを見破る統計学

本の概要

A 社会心理学講義 by 小坂井敏晶

フランスの大学修士課程の学生を対象に行った講義をもとに構成。認識論や影響理論を中心としつつ、社会心理学の考え方について批判的に検討。内容に対してかなり面白く、考えに幅を持たせることができる。

 

B 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 by 斉須 政雄

コート・ドールというフランス料理店長による、回顧録。23歳で単身フランスに渡り、やがては日本で3つ星レストランを経営するまでに至った経験を述べ、その中で仕事論について語る。エッセイに近い感じで、読みやすい。

 

C ウソを見破る統計学 by 神永 正博

大学教授とそのまわりの人の対話を通じ、社会の事象を統計学的な見地から解説する。よくある「データをきちんと読みましょう」というデータ・リテラシーの話を混ぜつつ、統計学の基本的な事項を学べる(というか復習)読み物。 

 

所感 

 私がAから学んだ点は3点。①学問に対する姿勢(現在の社会心理学に対する批判)、②自由意思の脆さ(影響理論)、③社会の格差、についてである。

①学問に対する姿勢

 心理学は他分野との交流が乏しくなり、研究発表も内輪でしか行われない。その心理的背景には、研究者に熱をもった課題意識が伴っていないからだ。学者や学説の研究を行うだけで、精神や人間の条件を理解しようと試みる姿勢に乏しい(ジェロームブルーナー)。

 また常識的な概念から逃れることができず、その主張も極めて凡庸である。自然科学者は滅茶苦茶なことを平気で提言する。常識を一旦棚にあげて、理論に独り歩きさせることが大切である。矛盾が現れても、それを総括させることで、新たな真理が見つかることもある。

 Bにおいても、同様に「新しいものって、やっぱりはじめはちょっとヘンなものに見える」と述べている。ただこの主張に1点補足するならば、Bでは「努力した上で、基礎を作りあげる。その基礎は、広がりと応用性を備えたものになる」と言う。この基礎があってこそ、新しい仕事ができるのではないか。と思う。

 とはいえ、人文・社会科学から滅茶苦茶な主張が現れ、世間に認められることは少ない。人文・社会科学の研究とは、自分自身の疑問につきあい、己を知るための手段である。本当に必要なのは、自分自身と向き合うことであり、その困難を自覚すること、それだけだと筆者は言う。

 同様に、筆者は近年の研究者の卵の姿勢に対しても叱咤している。実証研究の結果だけで物事を判断すべきではないと。科学が発展する上で実証以上に哲学的思索、そして自由な想像力が重要な役割を果たす点を見落とすな、と。そもそも、理論の正しさを確かめるために実験をするという発想自体をつまらないと切り落とす。逆に、理論の不備を露わにすることで、慣れ親しんだ世界像を破壊し、その衝撃から、さらに斬新な理論が生まれるきっかけを提出することこそが実験に本来期待されるべき役割だと。

 Cでは、一般的に流布する主張や常識も、正しいデータを基に見破ることを説く。Aはそのさらに先を行き、実証研究の結果を適切に見抜き、その上で哲学的思索や想像力を働かせることが重要と読み取れる。データそのものを破壊することも、時には必要なのだ。

 まず何かに対して本質的な疑問をもち(例えば、「時間」とはなにか)、その結果として誰か著名な哲学者の勉強をはじめるのが筋だと言う。そして、何十年もその問いと戦い続け、あらゆる分野の学問を駆使し、問い続けていけば、おのずと自分固有の見方が生ずるのである。

研究のレベルなど、どうでもよい。どうせ人文・社会科学を勉強しても世界の問題は解決しません。自分が少しでも納得するために我々は考える。それ以外のことは誰にもできません。社会を少しでも良くしたい、人々の幸せに貢献したいから哲学を学ぶ、社会学や心理学を研究するという人がいます。正気なのかと私は思います。そんな素朴な無知や傲慢あるいは偽善が私には信じられません。

 人生なんて、どうせ暇つぶしです。理由はわからないが、やりたいからやる。それが自分自身に対する誠実さでもあると思います。

 

 

②自由意思のもろさ

 人は行為の出発点として<私>を設定したくなるが、それは自律幻想であり、誤りである。人の物理的行動と脳の機能を比較すると、行動の方が先にくるという。心は脳の中にない。脳以外の身体諸器官、そしてそれらに影響を与える環境に宿っているというべきである。心は、環境の中に拡散し、論理は無限遡及に陥り、行為の原因<私>は雲散霧消する。人間は合理的な動物ではなく、合理化する動物である(フェスティンガー、河野哲也「環境に拡がる心」)。

 Bでは、行動が先に来ることから、真剣な行動や「切実な行動」を積み重ねていくことの重要性を説く。これを積み重ねていくことで、色々な人が介在してきて、だんだんと形になるという。これは、「切実な行動」により自分の中の<私>が真剣になり、またその行動の積み重ねが他者へも影響していき、やがて自分のもとに返ってくるのではないか。行動が意志を決め、そして環境をもつくる。 

 なお、自律幻想や根本的帰属誤謬は、同一社会内で社会階層を上昇するほど、学歴が高いほど、強いとのこと。虚心坦懐な意識を持つことが出発点かもしれません。

 ここはイマイチ根拠がよく分かりませんでした。Cの視点から言うと、学歴が高いとは何か、社会階層が上昇とはどういう意味か、と明確にすべきでしょう。

 

③ 社会の格差

 社会の格差とは、納得性を考慮する必要がある。小さな格差こそが問題をはらむ。明白な差は誰にでも納得できるが、小さな違いについては自分の劣等性を受け入れ難い。人は比較の中に生きている。すべての人間を平等に扱う社会は実現しえない。

 このため、社会の格差を正当化するメカニズムがいつの世でも必要である。カースト制度は区別の根拠が神という共同体の<外部>に投影され、社会は安定する。また個人の能力により社会上昇する可能性があれば、可能だと言う幻想が保たれれば、不満は大きくならない。不平等の現実にもかかわらず社会構造自体の是非は問われない。貧富の原因が各人固有の能力に帰されるからである。

 またAでは、弱者による社会での上昇ケースについても述べられている。強者と同じ生活環境にいれば、弱者は淘汰される。しかし同じ環境に生息しても、異なる種の個体ならば共存が可能である。人間の世界も同様に職業上の棲み分けが進み、そこで主流派と比較できない分野に特化する傾向が生まれた(デュルケム「社会分業論」)。 

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結論と今後の生活への活用

①行動を正す。そのために、行為を外的に規定する習慣やフレームワークを作成する。

②自分の中で、根源的な問いを1つ持ち、それに絡めた読書をする。

 

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